カーソルは、結果セットに複数のローがあるクエリからローを取り出すために使用されます。カーソルは、SQL クエリ結果セットのためのハンドルつまり識別子であり、結果セット内の位置を示します。
カーソルの概要については、カーソルを使用した操作を参照してください。
DECLARE 文を使って、特定の SELECT 文のためのカーソルを宣言します。
OPEN 文を使って、カーソルを開きます。
FETCH 文を使用して、一度に 1 つのローをカーソルから取り出します。
警告 SQLE_NOTFOUND が返されるまで、ローをフェッチします。エラー・コードと警告のコードは、SQL Communications Area 構造体で定義される変数 SQLCODE で返されます。
CLOSE 文を使ってカーソルを閉じます。
Ultra Light アプリケーションのカーソルは、常に WITH HOLD オプションを使用して開かれます。自動的に閉じられることはありません。CLOSE 文を使用して、各カーソルを明示的に閉じます。
次は、簡単なカーソル使用の例です。
void print_employees( void ) { int status; EXEC SQL BEGIN DECLARE SECTION; char name[50]; char sex; char birthdate[15]; short int ind_birthdate; EXEC SQL END DECLARE SECTION; /* 1. Declare the cursor. */ EXEC SQL DECLARE C1 CURSOR FOR SELECT emp_fname || ' ' || emp_lname, sex, birth_date FROM "DBA".employee ORDER BY emp_fname, emp_lname; /* 2. Open the cursor. */ EXEC SQL OPEN C1; /* 3. Fetch each row from the cursor. */ for( ;; ) { EXEC SQL FETCH C1 INTO :name, :sex, :birthdate:ind_birthdate; if( SQLCODE == SQLE_NOTFOUND ) { break; /* no more rows */ } else if( SQLCODE < 0 ) { break; /* the FETCH caused an error */ } if( ind_birthdate < 0 ) { strcpy( birthdate, "UNKNOWN" ); } printf( "Name: %s Sex: %c Birthdate: %s\n",name, sex, birthdate ); } /* 4. Close the cursor. */ EXEC SQL CLOSE C1; } |
FETCH 文の詳細については、FETCH 文 [ESQL] [SP]を参照してください。
カーソルは、次のいずれかの位置にあります。
ローの上
最初のローの前
最後のローの後
カーソル内のローの順序を制御するには、そのカーソルを定義する SELECT 文に ORDER BY 句を含めます。この句を省略すると、ローの順序が制御できなくなります。
明示的に順序を定義しない場合は、SQLE_NOTFOUND が返される前に一度だけ、フェッチごとに各ローが結果セットに返されます。
カーソルを開くと、最初のローの前に置かれます。FETCH 文が自動的にカーソル位置を進めます。最後のローより後で FETCH 文を実行しようとすると、SQLE_NOTFOUND エラーが発生します。これは、ローの連続処理を完了するための信号として利用できます。
カーソルはクエリ結果の先頭または末尾を基準にした絶対位置に再配置できます。また、カーソルの現在位置を基準にした相対位置にも移動できます。カーソルの現在位置のローを更新または削除するために、特別な位置付け型の UPDATE 文と DELETE 文があります。先頭のローの前か、末尾のローの後にカーソルがある場合、SQLE_NOTFOUND エラーが返されます。
明示的な位置付けを行って予期しない結果が出るのを避けるには、そのカーソルを定義する SELECT 文に ORDER BY 句を含めます。
カーソルにローを挿入するには、PUT 文を使用します。
開かれたカーソルがアクセスしている情報を変更した場合は、そのローをもう一度フェッチして表示するのが最適な方法です。単一のローの表示にカーソルが使用されている場合は、FETCH RELATIVE 0 が現在のローを再度フェッチします。現在のローが削除されていた場合は、次のローがカーソルからフェッチされます。ローがこれ以上ない場合は、SQLE_NOTFOUND が返されます。
テンポラリ・テーブルがカーソルに使用されている場合、基本となるテーブルに挿入されたローは、カーソルが閉じられて再び開かれるまでまったく表示されません。プログラマにとって、通常、SQL プリプロセッサが生成したコードを検査したり、テンポラリ・テーブルが使用される条件に精通していたりしないかぎり、SELECT 文にテンポラリ・テーブルが含まれているかどうかを検出するのは困難です。ORDER BY 句で使用されるカラムにインデックスを設定することによって、通常はテンポラリ・テーブルを回避できます。
テンポラリ・テーブルの詳細については、クエリ処理におけるワーク・テーブルの使用 (All-rows 最適化ゴールの使用)を参照してください。
非テンポラリ・テーブルに対する挿入、更新、削除は、カーソル位置に影響を及ぼすことがあります。Ultra Light では、新しくローにデータが挿入されたり、ローが新しく削除されてデータがなくなったりしている場合には、その後の FETCH 操作に影響を及ぼします。これは、テンポラリ・テーブルが使用されていない場合、カーソル・ローを一度に 1 つだけ表示するためです。(一部の) ローが単一のテーブルから選択されている簡単な例では、挿入または更新されたローが SELECT 文の選択基準を満たす場合、そのローはカーソルの結果セットに表示されます。同様に、結果セットに表示されたローが新しく削除されると、そのローは結果セットに表示されなくなります。
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