Transact-SQL と互換性のあるクエリ

SQL Anywhere と Adaptive Server Enterprise の両方のデータベースで実行されるクエリの記述方法には、基準が 2 つあります。

クエリ中のデータ型、式、探索条件が互換性を持つこと。
文そのものの構文が互換性を持つこと。

この項では、クエリ中のデータ型、式、探索条件が互換性を持つことを前提としています。quoted_identifier オプションが OFF に設定され、それが Adaptive Server Enterprise のデフォルトの設定値であって、SQL Anywhere のデフォルトの設定値ではない、という例を想定します。

Transact-SQL ダイアレクトの SQL Anywhere の実装は Watcom SQL ダイアレクトのクエリ式構文のほとんどをサポートしていますが、Adaptive Server Enterprise はそれらの SQL 構成の一部をサポートしていません。Transact-SQL クエリで、SQL Anywhere は次の SQL 構成をサポートします。

識別子を指定する逆引用符 `、二重引用符 "、角カッコ []
UNION、EXCEPT、INTERSECT クエリ式
派生テーブル
テーブル関数
全文検索用の CONTAINS テーブル式
REGEXP、SIMILAR、IS DISTINCT FROM、CONTAINS 述部
ユーザー定義 SQL 関数または外部関数
LEFT、RIGHT、FULL 外部ジョイン
GROUP BY ROLLUP、CUBE、GROUPING SETS
TOP N START AT M
Window 集合関数および統計分析関数や線形回帰関数などの他の分析関数

要約すると、SQL Anywhere の Transact-SQL ダイアレクトは次の構成をサポートします。

構文

query-expression:
{ query-expression EXCEPT [ ALL ] query-expression
| query-expression INTERSECT [ ALL ] query-expression
| query-expression UNION [ ALL ] query-expression
| query-specification }
[ ORDER BY { expression | integer }
      [ ASC | DESC ], ... ]
[ FOR READ ONLY | for-update-clause ]
[ FOR XML xml-mode ]

query-specification:
SELECT [ ALL | DISTINCT ] [ cursor-range ] select-list
[ INTO #temporary-table-name ]
[ FROM  table-expression, ... ]
[ WHERE search-condition ]
[ GROUP BY group-by-term, ... ]
[ HAVING search-condition ]
[ WINDOW window-specification, ... ]

パラメーター

select-list:
 table-name.*
|  *
| expression
| alias-name = expression
| expression as identifier  
| expression as string

table-expression: See FROM 句.

group-by-term: See GROUP BY 句.

for-update-clause: See FOR UPDATE または FOR READ ONLY 句、SELECT 文.

xml-mode: See SELECT 文.

alias-name:
identifier | 'string' | "string" | `string`

cursor-range:
{ FIRST | TOPconstant-or-variable } [ START AT constant-or-variable ]

Transact-SQL-table-reference:
[ owner .]table-name [ [ AS ] correlation-name ]
[ ( INDEX index_name [ PREFETCH size  ][ LRU | MRU ] ) ]

注意

FROM 句の Watcom SQL 構文に加えて、SQL Anywhere は特定の Adaptive Server Enterprise テーブルヒントの Transact-SQL 構文をサポートします。テーブル参照について、Transact-SQL-table-reference は INDEX ヒントキーワードと PREFETCH、MRU、LRU キャッシュヒントをサポートします。PREFETCH、MRU、LRU は SQL Anywhere では無視されます。
SQL Anywhere は、GROUP BY 句に含まれていないカラムの参照を可能にする GROUP BY 句への Transact-SQL 拡張をサポートしません。

SQL Anywhere は Transact-SQL GROUP BY ALL 構成もサポートしません。
SQL Anywhere は比較演算子 *= と =* を使用して、Transact-SQL 外部ジョイン構成のサブセットをサポートします。
SQL Anywhere の Transact-SQL ダイアレクトは派生テーブル内に埋め込まれている場合を除き、共通テーブル式をサポートしません。このため、SQL Anywhere の Transact-SQL ダイアレクトは再帰 UNION クエリをサポートしません。この機能が必要な場合は、Use the Watcom SQL ダイアレクトを使用してください。
テーブル仕様のパフォーマンスパラメーター部分は解析されますが、効果はありません。
HOLDLOCK キーワードは SQL Anywhere によってサポートされます。HOLDLOCK の場合、データページが不要になっても共有ロックが解放されないため、指定されたテーブルやビューの共有ロックの制限はより厳しくなります。クエリは、HOLDLOCK が指定されたテーブルで独立性レベル 3 で実行されます。
HOLDLOCK オプションは、それが指定されたテーブルまたはビューにだけ、しかも、そのオプションが使用された文で定義されたトランザクションの間だけ適用されます。独立性レベルを 3 に設定すると、トランザクション内の各 SELECT に適用されます。1 つのクエリの中で HOLDLOCK と NOHOLDLOCK の両方のオプションは指定できません。
NOHOLDLOCK キーワードは、SQL Anywhere によって認識されますが、効果はありません。
Transact-SQL は SELECT 文を使用してローカル変数に値を割り当てます。
SELECT @localvar = 42;
SQL Anywhere でこれに対応する文は、SET 文です。
SET @localvar = 42;
Adaptive Server Enterprise では、次のものをサポートしません。
- SELECT ...INTO ホスト変数リスト
- SELECT ...INTO変数リスト
- EXCEPT [ALL] または INTERSECT [ALL]
- START AT 句
- SQL Anywhere 定義のテーブルヒント
- テーブル関数
- FULL OUTER JOIN
- FOR UPDATE BY { LOCK | TIMESTAMP }
- Window 集合関数および線形回帰関数
SQL Anywhere は、次に示す Adaptive Server Enterprise Transact-SQL SELECT 構文のキーワードと句をサポートしません。
- SHARED キーワード
- PARTITION キーワード
- COMPUTE 句
- FOR BROWSE 句
- GROUP BY ALL 句
- PLAN 句
- ISOLATION 句

参照

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